2018年8月16日
ユウスゲの夜
ユウスゲは夜に満開となり朝になると萎んでしまう一日花。
花を咲かすのは一年の内たった一夜のみ、
そんな儚さに私は惹かれ、毎年この時期になると榛名山のユウスゲを見に来ている。
一昨年の朝7:30に訪れた際は萎れかけ、
去年の朝5:30に訪れた際は綺麗に咲いていた。
だから今年はもっと早く、一番満開と思われる真夜中に訪れる事にした。
8月3日、22:30
榛名山の夜空には星空が広がっていた。
しかし月が無ければ花は見えぬ。
私は星を眺め、月を待つ。
23:30
稜線の向こうから下弦の月が顔を出した。
辺りはぼんやりした月明かりが満たされ、懐中電灯が無くても景色が判別できる。
さて、行こうか。
沼の原湿原、ゆうすげの道を歩く。
熊笹は露でキラキラと宝石のように揺れている。
薄い霧が出てきたため木々の輪郭は曖昧となり、私は誰も居ないこの幻想的な世界を独り占めにした。
ユウスゲ、満開です。
今年は開花が早かったのか、去年のよりずいぶん少ない気が・・。
無風の大地に微動だにせず立ち尽くす姿と一切の穢れの無いレモンイエロー花弁は、まるで買ったばかりの西洋人形のような存在感を持っている。
月を浴びる。
深夜、宵に咲く花を一目見ようとこの場所に降り立ち、溜め息が出るほど美しい姿を見られたことを嬉しく思う。
今年のユウスゲ鑑賞はこれで無事終了かな。
時刻は01:00を過ぎた。しっとりと冷たい空気に身体は凍え、そろそろ帰宅することにする。
榛名富士の頭上にも星が降り、いつもと変わらぬ様子で佇んでいた。
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