2017年07月31日
高原のセブンコーヒー
夏の候、厳しい暑さに示し合わすように随分と日が長くなった。
仕事終わりの帰路に着く頃は依然として落日に遠く、少しずつ山の稜線に落ちていく西日を横目に見ながら、あてもなく車を走らせるのだった。
国道17号を北上し、ロードサイドのセブンイレブンでコーヒーを買った。
不相応に込み合った駐車場で、何を見る訳でもなく目前の街並みをぼんやり眺めコーヒーのカップに口を付ける。
熱くてコーヒーは飲めなかった。
周囲はだんだんと明度を失っていく。数時間後には夜になるだろう。
少し考えるようにしてから、ふう、と息を吐いた。
コーヒー、景色のいい場所で飲もうか。
------------------------
国道17号東に逸れ、昭和村方面へ向かう。
河岸段丘を乗り越え、町の喧騒から逃れるように東へ東へとアクセルを踏む。
やがて民家は消え人気が無くなった。
ここは私にとってはお馴染みでありお気に入りの赤城西麓の高原地帯。
落日の余韻が揺曳した空は深い藍色に変わっていく。
遠くの稜線の重なりに鉄塔が淡く立ち並び、高圧線が暮れる空を駆けている。
愁然とした大地に自分ひとり。
静謐の世界で聞こえるのは、遠くの高速道路を流れる車群のノイズ、湿気ったそよ風が草を撫でる音、そしてやけに大きく感じる自分の車のエンジン音。
コーヒーを啜ると、もうすっかり冷めていた。
コメント(4)
群馬Bスポブログ トップページ