1 別府湯治の旅⑧完 | 群馬Bスポブログ

2019年8月13日

別府湯治の旅⑧完
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本来であれば博多の宿にチェックインして中洲を散策しながら飲み歩くつもりだった。しかし私はある思い付きで行先を変え、電車を乗り継ぎ香椎線の酒殿駅に降り立った。辺りの日は落ち、地平線の夕日は風前の灯火。私を共に下車した高校生たちは自分の家に向かって各々散っていく。






今日の落日は美しいオレンジに輝き、ほどなくして暗闇となった。私は寒空の下、ポケットに手を突っ込んで歩く。交通量の多い大通りに出て、イオンの前を抜けて、住宅街に入って、目的地についた。






目的地はかの有名は志免炭鉱跡。暗闇に居ても堂々たる存在感を放ち、事前に聞いてはいたものの住宅街のど真ん中に竪坑櫓が鎮座する様に大きな驚きを感じた。廃墟マニアで知らぬ者は居ない志免炭鉱、かつてはここから数百メートル地下に降下して石炭を採掘していた歴史を持つ。巨大コンクリート構造物の竪坑櫓跡は今では無用の長物、しかしその迫力、構造美はどれだけ見ていても飽きることがない。






ここは公園になっていて運動場があったり遊具があったりする。夜の公園には散歩やらランニングやらで訪れる人を何人か見かけた。しかし彼らにとっては異様な廃墟も日常の風景であり誰も気にする様子はない。私は一通り見学した後もこの場所を離れるのが勿体なくて、ベンチに座りながら竪坑櫓を網膜に焼き付けるべくじっと眺めていた。どれほどここにいただろうか、いよいよ寒くなって上下の歯がガチガチ震えだしたのを合図に、名残惜しくも私はここを離れることにした。たぶん、もう来ることはないだろう。そろそろ博多へ行こう。公園の出口で一度竪坑櫓を振り返って、志免炭鉱の姿の見納めをしてから再び駅に向かった。






明日は空港に移動するだけだからこれが本当に本当に最後の夜。一度ホテルに荷物を置いてから中洲に繰り出した。目的は三つ、居酒屋でしっぽり飲むこと、未だに食べていない博多ラーメンを食べること。そして屋台に入ること。しかし今日は日曜の夜、屋台は出てないし休業日のお店が多かった。






まあ取り敢えず一杯と、川岸に店を構える奇跡の手羽先で手羽先やら串カツを食べながらハイボール。カウンター席には私ひとり、他は団体客。チェーン店だから特に誰とも喋る事無く、ひとり顔を赤らめながらニヤニヤしながらチビチビ飲む。最高だね。ハイボールを何杯か飲んで店を出た。






次に博多ラーメンを食べようと有名店の前まで行くもどこも非常に込んでいて、わざわざ並んでまで食べる気にならかなった。まだ飲み足りないし食べたりない、屋台にも入っていない。次の店を探して繁華街をうろうろし、中洲から離れ博多駅方面を歩いていると遂に屋台を発見。しかも博多ラーメンの屋台。そしてちょうど前の客が出て行ったところで席はちょうど空いている。全てのピースが揃った。私は意気揚々と暖簾をくぐった。






注文はもちろん博多ラーメン。初めての屋台でソワソワしながら待っているところに着丼。黄金色に輝くこってり豚骨スープ、大きなチャーシューと刻みネギ、キクラゲ、ゴマ、これが本場の博多ラーメンか。まずはスープを一口すする。深い溜息が出た。美味すぎる。豚骨スープが五臓六腑に染み渡る。ストレートの細麺をスープに絡めて一緒にすすると、ああもう幸せ。後から冷酒と焼き鳥を注文して、だいぶ酔いながら物思いに耽る。この九州旅行、本当に美味い物しか食ってないな。行く先々で美味い物を食ってはその度に感動する日々。何食っても美味いから一食も無駄にしたくなくて、九州来てから一度もコンビニを使ってない。こんなの中々ないぜ。この屋台だって当たりも当たり、超大当たり。何ならこちとらぼったくられるの承知で来てるのに、お値段だって驚くほど良心的。今日は満ち足りた最高の夜だ。心は歓喜の涙で濡れている。
オッケー、余すことなく満足した。もう何の悔いも無い。全てが楽しい旅だった。群馬に帰ろう。清々しい気分でホテルに戻って、シャワーを浴びて、ベッドに寝転がるとすぐに寝てしまった。






翌朝、少しゆっくり起きて空港に行き、11時のフライトで九州を発った。4泊5日の一人旅はこれにて終了。次回は熊本・鹿児島に行きたいなぁと思いながら、ぼんやり飛行機の窓から外を眺める。明日は仕事、旅の非日常も少し経てば遠い思い出に変わり、また日常へと戻っていくのだろう。次はいつ来れるだろうか。どこに行くのだろうか。いずれにしても、少し充電してまた旅に出よう。行き先は誰にも分からない。







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