2018年11月24日

平塚の夜



都会の空は明るく、月も無いのに薄ぼんやり足元が見える。 その日、駅前の喧騒から離れたくて、私は夜の平塚海岸にいた。 夜の海には誰も居ない。砂浜には国道の眩い光を浴びた自分の影が写り、水平線の先には漁船と思しき白い点が見えた。






波打ち際に寄ると「ザザーン・・、ザザーン・・」と水が大地にぶつかる音が全身を包み込む。 都会に居ては常に耳に触っていた、ガヤガヤと飛び交う人の声も、国道をけたたましく往来する車群の音も、打ち寄せる波の轟音によってノイズの全てが掻き消された。 波の音しか聞こえない。絶えず繰り返す音は耳から全身に浸みていき、胎内に居るかの如く深い安心感に包まれる。久々の静かな夜だった。






写真は明度を上げているが、実際はずっと暗い。
不確かな足元は凹凸があって、たまにつまずくし、水たまりにも落ちた。 ギリギリ見えるか見えないか、そんな明度の世界。






平塚海岸の海岸線はずっと遠くまで続いている。 今日は良い夜だから歩いてみようか。 私はたまに全力で逃げながら、波打ち際のギリギリを蛇行しながら歩いた。

長期の出張で精神的にも体力的にも疲弊した。 超投げやりに仕事を任され、社内のフォローもない中で慎重に案件を転がしながらの孤軍奮闘。納期に間に合わない、大事な製作物を壊してしまうなど、寝てる間に見た悪夢は数知れず、客先と大いに揉めた日の夜はなかなか寝付けなかった。これを書いている現在はやっと群馬に帰れた訳だが、この仕事は二度とやりたくない。






とまあ、そんな状況下でのこういう時間は束の間の心の癒し。 結局、夜の平塚海岸は出張の間で三度来ることとなった。






海岸線は河口にぶち当たり、ここで終点。 煩わしく思えた街は、夜の海の精神安定剤により幾分穏やかなものに見えた。 さて、戻るか。






すっかり遠回りになったが本当はラーメン食いに来たのだった。 二時間散歩した後のラーメンは美味だった。










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