2017年12月23日

北国街道歩き旅(一日目前編)
ここ最近は仕事もプライベートも忙しくブログの更新が滞っています。
だいぶ前の話だが、とある秋口の土日は久しぶりに一人旅をしようと、一切の予定を入れず死守していた貴重な土日。しかしどこに行くか、何をするかは全くの未定であった。 私は旅の予定を殆ど立てない人間だから行先はどうでも良いが、大切なのは旅の手段。電車で行くのか、車で行くのか、バイクで行くのか、果たしてどれが一番楽しいだろうか。
近世の交通機関の発達により今では簡単に日本中どこでも行ける時代になった。しかし便利な世の中になった一方で、遠くに出掛ける高揚感が薄れてしまったように感じる。 例えば私が小学生の頃に悪友共と自転車で村外の公園を目指したのだが、たかだか十数キロの道のりだが自分の力だけで遠方に赴く行為は誇らしいものに思い、隣町に行くだけでも当時の我々にとっては一世一代の大冒険であった。
私は原点に戻りそんな旅がしたいと思った。
僅か百余年前を振り返れば移動の基本は徒歩であり、車で数十分のイオンに行くにも何時間も歩かねばならない。しかし普段は車でサッと過ぎる景色も、のんびり歩いて見ればまた違った景色が見られるんじゃないかと、元来の散歩好きも高じて、今回は旅の移動手段として「徒歩」を選択してみることにした。






土曜の早朝、到着したのは軽井沢の信濃追分駅。
旅のスタートはここに車を置いて始まります。
駅前の駐車場なのに一日駐車しても100円というお得な駐車場だった。
「早速車使ってんじゃねーか」という苦言は耳に入らないのであしからず。






そう、ここは軽井沢の中山道追分宿。
中山道は江戸時代に整備された五街道の一つ、江戸から上信越を経由して京都を結ぶ旧街道、その中山道を辿る「中山道ウォーキング」なんて行楽は割合と盛んに行われており、ネット上でも街道筋の古い町並みに焦点を当てた記事が多数存在していえる。 しかし私の目的は中山道ではない、なぜ追分宿がスタートか、それは中山道追分宿で分岐し上越高田へ至る「北国街道」を歩き通すためだ。という訳で今回の旅は「北国街道歩き旅」と銘打って今スタートした。尚、土日じゃ越後まで行ける筈もないので、今回行けるとこまで行って、あとはまた後日続きから歩く積もりだ。






まずは神社で旅の安全を祈る。
街道筋の観光地は積極的に寄り道していきます。






現国道を敷設する際、道幅が狭い旧街道を破壊する訳にも行かないので、旧街道はそのまま残したままで国道が敷かれている。なので旧街道歩きと言ってもひたすら国道を歩く不毛な旅ではなく、今で言えば細い裏通りを歩き、江戸期に栄えた商家や旧家を面影を見ながら往時の賑わいを偲ぶことができるのだ。






散歩の楽しさは「どれだけ発見できるか」に決まる。
例えば道脇の古そうな石垣を見るとノミで斫った後が見て取れる。 この石垣は幾人もの人々の往来を見守ってきたのだなぁと思うと感慨深くなるのだ。
世には散歩の達人が数多く蔓延り、奴らの目は散歩を楽しむためにあらゆるものを発見できる。私もこうやって様々な物に興味を持って、見つける目を育てていきたいと思う。
とまあそんな感じで、いちいち写には撮ってないが街道脇には小さな発見が沢山あって面白い。これは車じゃ決して見つけられないものだ。






ここは旧油屋旅籠。
江戸時代に脇本陣を務めた旅籠、今ではアートや音楽などの文化活動の拠点として使用されている。






ここは古民家を利用した雑貨屋さん






どこもかしこも秋に燃えており、紅葉が綺麗な寺院に立ち寄った。






寺院の境内の端にある石仏は、歯が痛そうな風体から「歯痛地蔵」と呼ばれ歯痛の神様と信仰されているとか。
他にも「卓球地蔵」「氷環(カーリング)地蔵」「さぁさぁ一杯やっぺぇ地蔵尊(そういう名前)」など、よく分からぬお地蔵さんがたくさんいた。






そして宿場町の端までやってきた。
街道が分かれるところを「追分」と言い、この写真の場所が追分となる。
左に行くと中山道、右に行くと北国街道となり、道標にも太く大きな字で刻まれている。 街道の分かれ道である交通の要所だけあって、旅の安全を祈った道祖神や、天下泰平の地蔵尊、他にも様々な石仏や石碑が祀られていた。






LINEやTwitterも無い時代だ、ここでの別れは永遠の別れになりかねない。
中山道をずっと共に歩いてきた友と
「俺は中山道を行く、この道は桜の名所"吉野"へ」
「俺は北国往還を行く、この道は月の名所"更級"へ」
となどと会話しながら袂を分かったのだろう、様々な想いを持って別れを遂げた旅人たちが、ここに石仏や石碑を奉納したと言う。
そんな説明文を読みながら多くの別れと沢山の想いを想像すると感極まっちゃって、全然自分関係ないのに目頭が熱くなってしまった。私はここから北国街道へ往く。






特別意識しなければただの裏道、しかし北国街道の旧街道と意識すれば見る物も変わってくる。ここは三ツ谷、街道筋の街並みはやはり立派で家屋からは往時の面影を偲ぶ。






この蔵の石垣なんて、城郭の石垣かと思うほど堅固で重厚な造りでため息が出た。






本馬瀬口のあたり
だんだんと文明の利器を忘れていき、移動は徒歩、という感覚になってくる。 さながら気分は全国を旅する行商人、次の宿場、小諸宿を目指し歩き続ける。






明治天皇巡幸の折りに休憩した高山家。






当時のまま残されているとの事。






御代田町から小諸市に入ったあたりで、遠くの崖を四角く切り抜いたが謎の横穴を発見した。
流石に歩いて寄るつもりは無いが、長野に住む探検仲間に聞いてみたところ、戦時中の燃料や弾薬の格納庫らしく、今ではゴミが詰まってるものの30mくらいの深さがあるそうだ。 正解を教えてくれた仲間にも感謝だが、この発見の連続が歩き旅の楽しみの真髄だなあ






更に歩いて、平原のあたりで一里塚跡を見つけた。
一里塚とは街道を歩く者の目印として一里(約4km)毎に設置された塚であり、江戸時代に幕府より整備が命じられた。4km毎なので、大体歩いて一時間おきに出現する。
一里塚は明治以降ぶっ壊されたものが多く、現在見られるのは復元だったり跡地であったりするが、北国街道を歩く私にとって一時間ごとに一里塚を見るのがちょっとした楽しみだったりした。






平原の街並み。
宿場町でなくとも街道沿いは歴史的な家屋は残り面白い。
小諸宿まではあと一里、なんだろうか、「次の町へ行く」という至極単純な行動なのに妙に高揚するし何度も行った筈の小諸の街が妙に恋しい。私の頭には国道18号など消え失せ、この街道こそが小諸に続く唯一の道と信じきっていた。






そして小諸宿到着!!






流石は古い町並みが自慢の観光地、立派な商家の街並みが連なる。






無料休憩所の与良館とやらがあった、小雨が降ってる事だしちょいと休憩しようかと思うが、こういう場所は地元民の溜り場になっていて余所者は肩身が狭い思いをする場合がある。一度は通り過ぎるも、楽しいも辛いも全てが旅だと自分に言い聞かせ、思い切って入館した。
館内は古民家を改修した休憩スペースになっており、中央に配置された木目を生かした飴色の円卓の周りに、切株をそのまま使った椅子が6,7脚置かれていた。頭上を見れば古民家を最大限生かした造りで黒塗りのぶっとい梁が幾重にも架けていた。 案の定地元民でいっぱいだったが、私が入館するや否やお茶をお茶菓子を下さり、大層もてなしてくれた。「どこから来たか」「どこへ行くのか」と矢つぎ早に訊かれた私はざっくりと旅の行程を話した。すると私のように北国街道を歩いている人は案外居るみたいで、旅のノートや寄せ書きやら見せてくれた。私の方も道中で気になった施設や家屋の意匠について聞いたりして、思いもよらず充実した休憩となった。しばらくの歓談の後、「そろそろ上田を目指します」と挨拶し与良館を後にした。旅先で親切にされるとその土地が好きになってします。小諸、見くびってたけど良い場所だな~。











小諸の街並みは言うまでもなく美しい。





信州に来たんだから昼は蕎麦を食べようと何軒か蕎麦屋を覗いてみるが全て満員。
「おいおいお前ら車だろ?俺ぁ歩って来たんだから蕎麦喰わせろい」と心の中で叫ぶが、こちらはつまはじきにされがちな一人旅行者、相席で団体客の気分を悪くさせるくらいならと涙を拭って店から出るのだった。 そして蕎麦を食べたかったが同じ麺類のラーメン屋へ。 写真の古い建物が実はラーメン屋、味は普通だった。
そして今日は曇りの筈なのに、霧雨となり、小雨となり、やがて本降りになってきた。 すぐ止むだろうと高を括り傘を買わずに過ごしたもんだから、本降りになっても「だいぶ濡れてしまったから今さら買えん」と半ば意地となって雨に打たれ続けていた。






小諸宿脇本陣
明治時代には旅籠として転化されたという。
一人旅の宿は高級旅館ではなく質素な宿に泊まりたいもんだが、昔で言う旅籠や商人宿はすっかり姿を消してしまった。もっとも、商人宿は今でいうビジネスホテルだろうが、それではなんだか旅情を感じない。ビジネスホテルに泊まって地元の居酒屋で引っかけて寝るってもの旅情ではあるが・・。
偉そうな事言っておいて現段階では今日の宿の予約もしてないしどこで寝るかも未定。だってどこまで行けるか分からんし予約って行動が制限されるから嫌いなんです。






小諸宿本陣
国指定重要文化財です






時刻は13:30
小諸を抜けるとやっと晴れてきた!!
よっしゃ!!楽しくなってきたぜ!!!


つづく






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